ステンレスの種類は細かな成分で分けると200を超えると言われていますが、金属組織ごとに分類すると、オーステナイト系、フェライト系、二相系、マルテンサイト系、析出硬化系の5つに分けることができます。
家庭用・産業用問わず、基本的にはこの5分類から種類を決めることになりますので、まずはそれぞれの特徴について見てみましょう。
他のステンレスに比べて、耐食性や加工性、溶接性などにもっとも優れているステンレスです。熱処理を行っても硬化しないため、強さや硬さの面では他種に劣りますが、総じて優れた性能を持っているため、さまざまな用途に使われます。磁性はありません。
比較的価格が安いステンレスです。耐食性はオーステナイト系よりも劣りますが、マルテンサイト系よりも高く、溶接性に優れています。また、加工状態にかかわらず、すべての状態で磁性があるのが特徴です。
オーステナイト系とフェライト系の両方の組織を持ったステンレスです。腐食による割れに強いのが最大の特徴で、磁性もあります。また、耐食性・強度ともに優れていながら経済的なのも二相系ステンレスのメリットです。
熱処理を行うことで硬さや強度が増すステンレスです。耐食性はオーステナイト系やフェライト系に比べて劣るものの、その硬化性を活かして、硬さ・強度が求められる場合や高温にさらされる環境で使用する場合などに用いられます。
オーステナイト系ステンレスを、熱処理によって硬化できるように改良したステンレスです。耐食性はオーステナイト系にはおよびませんが、他の種類に比べて優れています。幅広い用途に使える万能のステンレスと言えるでしょう。
- 「ステンレスは錆びない」というイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。確かに高い耐食性を持っているため錆びにくいのですが、異種金属が長時間接触したり洗浄液や食塩水に長時間入れたりすると錆びの原因となります。また、錆びやすさはステンレスの種類や加工・溶接方法などによって異なります。くわしくはお気軽にご相談ください。